メディア掲載例。株式会社横井製作所(京都府宇治市) | 精密プラスチックの横井製作所

メディア掲載

人を大切にするモノづくり経営

2014年1月30日
京都中央信用金庫様のビジネス情報誌「ANONA 2014 No.115」
 
 
◆経験・強みを生かしての起業、経営

当社は昭和59年4月に創業し、今年で30年目を迎えます。起業は、20年近く成形メーカーに勤務した後40代のときでした。今の時代で考えると早いほうですが、当時にしては遅く、早い人は28~29歳で起業している時代でした。創業当時はオイルショックが終幕した後ということもあり、これから立ち上がっていく、盛り上げていく時節だったので、その頃に起業したことは良かったと思っています。

当初は4台の機械に、5~6人の従業員で作業をしていました。取引先としては、樹脂部門を立ち上げたばかりの一部上場企業へ金型や成型品のアドバイスをしたことが縁で、取引を開始させていただきました。先日、第一期目の決算書を久しぶりに見ましたが、驚いたことに第一期目から黒字経営でした。往々にして創業赤字が何期か続いていくものですが、今思えば、取引先や人の縁に恵まれていました。

起業したときは人任せにすることなく、全て自分で対応しなければなりませんでしたが、以前勤務していた会社では製造、技術、営業各業務の責任者をこなして一通り網羅していましたので、そこでの経験を活かすことができました。起業された方の中には順調にいかれていない方もいらっしゃいましたが、私は製造も営業もどちらも経験していたので、それが功を奏しました。

また、そのような取引先に甘えることなく日夜、新規開拓を行い、上場企業など様々な企業と取引を拡大してきました。

 

◆オリジナル品質への取組み

現在、日本のメーカーと海外メーカーとの競争は激しさを増しています。そのような中、当社は海外生産でなく国内生産にこだわり、製品改良、短期納期、海外メーカーとの価格競争などに取り組んでいます。

それは、まず、材料から他社には絶対に真似できないものを作る。材料メーカーとタイアップして当社オリジナルの材料を作って、取引先へ各部品に対する最適な材料・特性の提案を行っています。また、当社で使っている金型80%が自社製品です。

自社で金型を作ることにより、試作品を作ってほしいと頼まれた場合など取引先のリクエストにもすぐに対応可能となり、納品もスピーディーに行うことができます。

今後も当社では、材料から他社には真似できないオリジナル品質のものを作ることを目指しています。

 

◆女性が安心して働ける環境づくり

当社は、全従業員107名のうち女性従業員が77名と約72%を占めています。この背景には「この仕事は男性のほうが向いている、女性のほうが向いている」という偏見・固定観念を持たず、適材適所の職場に女性を配置しているからだと思います。

性別で職場を限定してしまえば、その人本来の能力が発揮できなくなってしまいます。従業員全員が平等に働けて頑張れる環境がしっかり整っていれば、能力を持っている女性は伸びていきます。

また、女性をいかに活用するか、これは企業の生き残り戦略の一つと考えており、「人」としてどう育てていくかを考え、環境を整えていくことを心掛けています。

特に、女性の場合は出産を機に長期間職場を離れてしまいます。当社では、購買など管理する仕事を少数で進めていくという流れができ上がっているため、半年から一年と人員が欠けた場合、後継者育成など業務に支障が出てきます。長い時間かけて蓄積されてきた知識・能力という経営資源を損失してしまうことほど、もったいないことはありません。

 

◆人を大切にする企業経営を目指して

当社はモノづくりの会社ですから、「京都一の会社にする」という意気込みは常に持っています。あわせて、「人を大切にする」というスタンスも大事にしています。

以前、取引先企業の方から、「どんな仕事にも発注側と受注側の双方がおり、この関係は対等だ。」と言われたことがあります。当社が作ったものを取引先が買いそれを売ることで利益になり、当社は仕事をもらって利益を生み出します。自社の利益しか考えないという図式は良くありません。いいものを作り上げたいのなら、お互いの利益を考えなければなりません。

フェアな関係を築くためにも、取引先に対しても言うべきことは、はっきりと言うべきです。ただ、絶対に無理を言ってはいけません。私は、このことを全従業員に徹底しています。

「人を大切にする」というスタンスは、もちろん従業員にも当てはまります。従業員の力がなければ、企業は伸びません。企業は社長一人の力で回っているわけではありません。

私はこれからも従業員を大切にし、従業員からも大事にしてもらえるような企業を目指していきたいと思います。

働く環境が良く、技術の継承が途絶えない。

2013年10月1日 西プラネット
【会員企業ご訪問:vol 95】株式会社横井製作所(京滋支部)本社住所 京都府宇治市伊勢田町浮面28-1
資本金 1,815万円
創業 昭和59年4月
成形機 37台
従業員数 107名
電話 0774-41-2681
FAX 0774-41-2516(男性30名、女性77名)

今回は、京都府宇治市にある(株)横井製作所の代表取締役横井洋治様を訪ねました。 
  
  
◆全社を挙げての節電・省エネの取組

当社では、2011年から全社を挙げて節電に取り組んでいます。

その一つに、排気熱を循環利用するホッパードライヤーの導入があります。従来品より高性能で省エネに優れたもので、素手で触れられるほどしかドライヤー本体からの発熱が無く、排熱を有効利用できています。このドライヤーは一般的なものより高価ですが、補助金を利用して導入しました。
他にも同じ省エネタイプのドライヤーを導入したり、既存のものにも一度に成形できない分の材料が過剰乾燥にならないように、乾燥時間を調節できる機能を追加しました。

生産設備の省エネ化だけでなく、左表のように照明をLEDに変えたり、タンクで貯めた雨水を利用して屋根や室外機の冷却をできるようにしたりといった取組をこの2年で合計12件実施し、今年度に電気代の値上げがある前の時点で30%弱の電気代削減ができていました。また、排出量取引によって排出枠の余剰を販売しています。

2013年中にソーラーパネルの設置予定もあり、今後も節電を推し進めていきます。

 

◆ユニークな福利厚生の取組

従業員の福利厚生でもユニークな取組をしています。

8月に新聞でも取り上げられた社内託児所は、食堂の一角を改装したもので、8畳のスペースにはベビーベッドや遊具を設置し、会社内とは思えないような雰囲気になっています。

現在は生後7か月の子どもを1人預かっており、2014年初めころにはあと2人の子どもを預かることになる予定です。
子どもには女性従業員が交代で付き添い、食堂内に託児所があることで休憩時間には他の従業員とのふれ合いもあります。さらに、社長室のデスク前にもベビーサークルがあり、自らも子どもの面倒を見ています。

社内に託児所を設けることで金銭面はもちろん、母親一人に負担がかかってしまうといった精神面の問題も解消できると考えています。このような取組の背景には、女性従業員の力を高く評価していることがあります。

実際に事務室は女性従業員ばかりで、クレーム対応や品質管理を全て行っています。このような貴重な戦力が出産によって離れてしまっては会社にとって損失ですし、それを避けるために会社が育児のサポートをするという選択をしました。

 

◆製品・工場整備の取組

当社の特徴的な製品を紹介します。
一つは、PAI樹脂成形品であり、耐熱性が非常に高いという特性から、広い用途で使えるものです。金属製品代替品として提案を行い、採用へ向けて交渉中です。

もう一つは、電気自動車の充電スタンドのノズルで、複雑な構造と、2トン車に轢かれても壊れない耐久性を両立させることができ、採用に至りました。自社で金型の設計・製作ができるため、いろいろな場面で素早い対応が可能となっています。

工場は清潔に保ち、生産機械の自動化を進め、少ない従業員数で稼働させています。整理整頓して通路や台車・パレットの置き場を確保、作業内容や管理者についての情報を明示、自動倉庫システムの導入などによるシステム化・オートメーション化も進めています。こうした取組により、キヤノンやコニカミノルタ、その他のグリーン調達証明を受けています。

 

◆会社を拝見して

節電の取組での補助金利用について、横井社長は「知っているか知らないかの違い」と仰っていましたが、知識として持っているだけでは足りず、それを実現できる体制があってこそだと感じました。

また、事業展開だけでなく、福利厚生や工場の整備も可能な状況にあり、それによってさらに事業がうまくいくといった良いサイクルの中にある会社であることを強く感じました。

さらに、アットホームな社風の企業というのは多々ありますが、託児所があり全社員で子どもを見守ることで、まさに家族といえる雰囲気の企業になっていると感じました。

このように働く環境が良いということは従業員の長期勤務を期待でき、技術の継承が途絶えないことは事業にとって大きなプラスであると思われました。

ありがとうございました
取材:事務局 平田、河合

10月22日にHPをリニューアルされました。

https://yokoiss.com

自社だけでなく、業界全体での節電に関心をお持ちですので事業所の見学や、節電の取組についての情報交換には上記HPなどからお問合せください。
※本記事記載の情報については、2013年10月1日現在のものとなります。

ママ社員託児所で応援

平成25年8月21日水曜日 京都新聞に、株式会社横井製作所の託児所が掲載されました。 
  
  
 プラスチック成形加工を手がける横井製作所。
産後1年以内に復職できる環境を整えようと、食堂の一角の休憩スぺース(広さ8畳)を改装した。
授乳スぺースを設け、ベッドやおもちゃもそろえて、平成25年7月から始めた。
主に中高年のベテラン女性従業員が1人3時間、交代で子どもに付き添う。おなかをすかせると母親に電話し、就業中でも母乳を与えられる仕組み。現在は生後5力月の女の子1人を預かっている。母親で入社7年目の石田紗緒里さん(25)は「よく知っている人が子どもをみてくれるので安心して働ける」と話す。
同社は社員45人で、パートなどを含めても約130人。託児所を推進した横井慎一専務(40)は「小さい企業だけにキャリアを積んだ人材が出産で退社するのは大きな損失で、産後も安心して復帰できる職場にしたい。赤ちゃんの世話を通じ、会社の雰囲気も明るくなった」と喜ぶ。(柿木拓洋)

【写真】託児所で社員の赤ちゃんをあやす女性従業員(宇治市・横井製作所)